『Limit Of Love 海猿』のTV放映を見て

「危険物が流出している現場での救難、転覆船にもぐりこんでの人命救助、ヘリコプターから降下しての人命救助など」は感動的でした。
このような仕事は、特殊救難隊(特救隊)が担当します。
現在、1個隊6名〔隊長1名・副隊長1名・隊員4名(火災及び危険物・レンジャー・潜水・救急救命士)〕で6個隊、計約36名が配属されています。
隊員は各管区で行われる「競技会」にて優秀な成績を収めた救難強化巡視船や潜水指定船に乗船している潜水士から選抜されます。
今年度採用された学生の中からも将来選ばれることになるでしょう。


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部隊の標語は「常に備えよ」---Special Security Team

特殊救難隊(SRT)以外に特殊警備隊(SST)という特殊部隊も存在する。
米海軍特殊部隊「Navy SEALs」から指導を受けた対テロ特殊部隊である。
隊員は主に警備実施強化巡視船に配備されている特別警備隊や、救難強化巡視船の潜水隊員から選抜されていると言われている。
特殊警備基地の編制は、
・基地長
・統括隊長(複数の隊が出動した時に統括する隊長)
・1個隊〔隊長・副隊長・他6名〕計8名が7個隊
各隊には語学のスペシャリスト・救急救命士等の専門隊員が配属されている。
また、7個の特殊警備隊のうち2個はそれぞれ化学防護、爆発物処理を専門としている隊であると言われている。
隊は突入班と支援班に分かれて任務に当たる。
SSTは出動命令を受けると、対象となる船を急襲する。
乗り込む方法は、空からのリペリング降下のほかに、強行接舷による移乗や閉式潜水器具を使用しての水中強襲も行う。
通常は、船内の制圧が終わると、警備実施強化巡視船からやって来る特別警備隊に任務を引き継いで撤収する。
SSTの出動事案例は、
1999年:能登半島沖での不審船事件
2000年:東シナ海航行中の外国船籍貨物船で発生した船員の暴動事件
2001年:奄美大島沖での北朝鮮工作船事件
など。


『美しい国、日本』

日本は四方八方、海に囲まれ国境を接しない国。
海に守られた安全な国。
そして美しい国。
それが、いとも簡単に拉致されていたとは。
写真の「ひだ」は北朝鮮による工作船に対応するために開発された。
海上保安庁のヘリ甲板付高速高機能大型巡視船。
総トン数は約1,800トン、長さは約95メートル。
ウォータジェット推進方式、速力30ノット(時速約55km)以上での航行が可能。
また、命中精度が高く、遠隔操縦可能な射撃管制機能付40ミリ機関砲。
目標追尾型遠隔操縦機能付20ミリ機関砲。
夜間でも捜索可能な赤外線捜索監視装置。
現場の画像をリアルタイムで伝送するヘリコプター撮影画像伝送システム。
など最新の装備が搭載されている。
船体は軽合金を使用した防弾構造。
武装工作船などからの銃撃に対応するためである。
防弾のため舷窓はなく、窓は船橋だけにある。
煙突がなく、両舷から排煙される。(純白の舷側の煙で汚れている部分が排煙部分)
実用本位に徹した戦闘型巡視船である。
『美しい国』を守ってくれ!



海上保安庁 -安全な航海の道しるべ-

海上保安庁は国土交通省の外局。
国土交通大臣の指揮を受ける海上治安機関。
任務は、海難救助・捜索、領海警備、海洋汚染防止、海上犯罪取り締まりなど。
守備範囲も日本の領海内全て。
職員は司法警察職員として、海上でのあらゆる事態に対処できる法的根拠を有しています。
そのため、拳銃・自動小銃・機関砲などの武器の携帯や操作が認められています。
職員数は約1万2千人。
中堅の県警察の規模とほぼ同じです。
自衛隊は約30万人。
警察は全国で約25万人。
消防職員は約13万人です。
いかに少ない職員数かが判ります。
その予算も、海上保安庁は1,891億円(H19)。
防衛省は4兆円弱。
警察も都道府県警合計で2兆6,000億円程度。
比較にならないほど、少ないです。
海上保安庁旗は安全な航海の道しるべであるコンパスを図案化したものです。


 海上保安庁旗(掲載のものをトレース)

不可能を可能にした奇跡の船「宗谷」

「宗谷」(海上保安庁)という船の歴史は、そのまま昭和史の光と影である。
宗谷にかかわった人々は皆この船を愛し、「健気な船だ」と言う。
・1937年ソ連船として進水。
しかし、第二次世界大戦直前の情勢から、ソ連への引渡はなされず日本商船として竣工。
・1940年耐氷能力に目をつけた海軍により徴用され、運送艦として配備される。
アメリカ潜水艦から発射された魚雷が右舷後方に命中するが、
幸運にも不発弾であったため難を逃れる。
ただちに爆雷を投下し、逆に潜水艦を沈めてしまうのである。
 戦後は引揚げ船としての業務に携わり、延べ約19,000人を輸送。
その後、海上保安庁の灯台補給船となる。
灯台守の生活を描いて、大ヒットした映画「喜びも悲しみも幾年月」の1シーンにも登場。
また占領統治されていた奄美諸島の日本返還時、日本のお金9億円を同島に運ぶ仕事をすることもあった。
・1956年その耐氷構造と船運の強さを買われ、初代南極観測船に選定される。
通算6回の南極観測任務を遂行した。
その小さな、しかも耐用年数ぎりぎりの、そんな船を精一杯改装して南極へ向かった。
宗谷は無事に南極へたどり着き、不可能を可能にした。
そして「奇跡の船」となった。
南極海で、流氷に挟まれ立ち往生、そり犬一群が南極大陸に取り残され、翌年「太郎・次郎」の2頭が生還した悲話は今も語り継がれている。
・1962年南極観測の後継を砕氷艦「ふじ(海上自衛隊)」に譲り、北海道第1管区所属の巡視船として、海難救助や冬期の北洋における医療活動に従事。
1978年退役するまでに、救助船125隻、救助人数は1,000名にも及ぶ。
「北の海の守り神」と呼ばれるほどの活躍をする。
実に40年あまりも働き続けました。
これほど働き者の船は、おそらく前例が無いでしょう。
現在、お台場にある船の科学館で一般公開されています。


世界最大の巡視船「しきしま」

「しきしま」は英仏からのプルトニウム輸送船の護衛を目的として建造された。
海上保安庁が保有する世界最大の巡視船である。
◎航続距離は20000海里以上。
ヨーロッパから日本まで無寄港で航海することが出来る。
◎最大25ノットの速力。
比較的高速な巡視船でもある。
◎構造は巡視船で唯一の軍艦構造。
携帯用のミサイル数発程度の攻撃には十分耐えられる。
◎35mm連装機関砲2基、遠隔操作式20mm機関砲2基、2次元対空レーダー。
さらに大型のAS332ヘリコプター2機(防弾)搭載、哨戒をおこなうことが出来る。
テロリストが使用するであろう小型船やヘリコプターを相手にするには十分である。
◎航路や日程、内部構造は一切機密。
乗員は海上保安庁職員名簿にも掲載されていない。
◎プルトニウム運搬船護衛任務以外にも、尖閣諸島周辺海域の警備業務、東南アジア周辺の海賊対策訓練などを行っている。



海難事故の週間件数について

海難事故はどれくらい起こっているのだろうか?
ほとんど知られていないのではないでしょうか。
毎週発行の海上保安新聞よると、

2007年週間海難情報
(4月9日~4月15日)
--------------
種類別  隻数
--------------
衝  突  8
乗り揚げ  2
転  覆  1
火  災  1
爆  発  0
浸  水  1
機関故障 2
推進故障 2
舵故障   1
行方不明 0
その他   3
--------------
  計   21
--------------
1日3件の頻度で海難事故が起こっている。
また、救助した船舶2隻、人名8名となっている。


 平成17年度救助の様子(海保レポート) 船底を叩く潜水士

現場に到着し転覆船の船底上にはい上がった潜水士が、
水中ナイフの柄で船底をたたいたところ、
「ガン、ガン、ガン」と、返事をするような音があり、生存者を確認。
その後、特殊救難隊が転覆船の船内に進入し、
中で生存していた1名を救助しました。
しかし、残念ながらこの事故により7名の方が亡くなりました。

高速巡視船の機関砲

どのように海が荒れ速度を上げていても、機関砲で正確な射撃をするため、
以下の性能があるといわれている。
・ジャイロを使った精密射撃照準装置(砲安定装置)。
・赤外線監視装置により夜間でも使用可能。
・リモコンによる操舵室からの遠隔操作。
・コンピューターで船の揺れ・スピード・加速度を計測し、
機関砲を自動制御して弾道をコントロール。


東シナ海不審船事件(平成13年12月)
巡視船「いなさ」から不審船への射撃と「いなさ」の最新20mm機関砲。

海洋基本法 国益衝突の時代

かつて隣国との関係は、海に隔たれていると考えられていた。
しかし、今日では海洋に国境線が引かれ、海は隣国と接する。
海洋に関する協調と競争を考える時代になった(※)
隣国、中国・韓国は、海洋政策を主管する官庁を次々に新設または強化。
海洋問題への包括的かつ具体的な取り組みを進めてきた。
中国は国家海洋局、韓国は海洋水産省。
これと対照的に日本は、海洋の総合的管理に向けた取り組みが遅れていた。
旧態依然の縦割り行政で、海洋担当大臣も存在しない。
それが新しい海洋秩序に対応できない大きな原因となっていた。
ようやく「海洋基本法」が、2007年4月に成立し、7月に施行される。
内閣府に総合海洋政策会議が置かれるようになった。
この法律の成立によって日本の海洋政策は「海に守られた日本」から
「海を守る日本へ」と大転換することとなった。
(※)1994年の国連海洋法条約の発効より、沿岸から200海里が排他的経済水域となる。
さらに大陸棚がある場合は最大で350海里まで海底資源の開発が認められる。


フィッシュボーン・テクノロジー概念図(出所:中国海洋石油総公司)
石油採掘施設から枝状にパイプを横に這わせて隣接する海底資源を吸い上げる
(解説:日本財団図書館)

東シナ海の油田・ガス田のみならず、尖閣諸島海域に眠る油田は
イギリスの北海油田に匹敵すると言われている。
経済効果は計り知れない。
イギリスは、北海油田の建設後、石油の輸入国から輸出国に変わった。
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